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「薬害肝炎訴訟」北陸地方の現状 /富山


 ◇「潜在的被害者いるはず」--弁護団「一人で悩まず相談を」
 薬害C型肝炎訴訟で、富山や愛知など北陸・東海地方に住む女性3人が13日、国と製薬会社に計約1億9800万円の損害賠償を求め、名古屋地裁に追加提訴した。80年代には北陸地方の病院でも大量の血液製剤が使用されたが、訴訟が行われていないことなどから、正確な被害実態は分かっていない。富山県在住者の提訴も今回が初めてだ。名古屋訴訟弁護団は「北陸には潜在的な被害者が数多くいるはず」として、投与を受けた可能性がある人に検診や情報提供を呼び掛けている。【茶谷亮】

 ◇感染者「1万人以上」
 フィブリノゲンなどの血液製剤は、人の血液成分が原料の医薬品で、主に80年代に出産や手術の際の止血剤として頻繁に使われた。これらの血液製剤にC型肝炎ウイルスが混入し、感染力を奪う処理が不十分だったことから、80年以降だけで1万人以上が感染したと推定されている。感染すると高い確率で慢性肝炎になり、肝硬変肝臓がんに進行する。
 患者らは02年から、田辺三菱製薬などの会社と国を相手取り、東京、大阪、福岡、名古屋、仙台の各地裁に提訴。現在、全国5地裁5高裁で係争中で、原告は計206人に上っている。

 ◇見えぬ被害実態
 厚生労働省や薬害肝炎全国弁護団の調査によると、北陸地方ではそれぞれ少なくとも、石川3527本、富山305本、福井1102本のフィブリノゲンが納入され、大規模病院を中心に、石川77、富山77、福井59の医療機関で使用された。使用した病院は、厚労省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp)で公開されている。
 しかし、北陸地方の裁判所では訴訟が行われていないことなどから、肝炎問題に詳しい弁護士や研究者が少なく、北陸3県から名古屋訴訟に加わった原告も計2人にとどまっている。
 一方で、厚労省が放置していたことが発覚した418人分の感染者リストには、石川、富山、福井の医療機関でもそれぞれ4人、6人、1人が感染したことを示す記載がある。弁護団は、被害に気付いていなかったり、症状が進行しても対処法が分からないまま過ごしている患者が多く存在すると見ている。
 厚労省は、主に80年代に、出産や大量に出血する手術を受けた人や、公開されている病院を受診した人に対して、C型肝炎検査を受診するよう呼び掛けている。希望者は、ほとんどの保健所で無料検査が受けられる。

 ◇「早期に全員救済を」
 今回、富山県から提訴したのは40歳代の女性で、88年5月に県内の病院で出産した。その際に投与されたフィブリノゲンでC型肝炎ウイルスに感染し、現在も慢性肝炎に苦しんでいる。
 女性は「フィブリノゲンで肝炎にさせられたことで、人生の半分を決められてしまった。国が責任を持って、早く誰もが安心して治療を受けられる体制を整備してほしい」と話している。  和解協議を進めている大阪高裁は今月13日、和解骨子案を提示した。しかし国や原因企業の法的責任が生じる期間を短く区切った内容で、厚労省が公表した修正案もこれを踏襲。被害者全員の一律救済を求める原告団は拒否し、交渉は事実上、決裂した。これを受け、福田康夫首相は議員立法で全員救済を目指す意向を表明している。
 名古屋訴訟弁護団は「全面解決のためには被害の正確な把握が不可欠。感染が疑われる人は一人で悩まず、相談してほしい」としている。
 無料相談、問い合わせは同弁護団事務局(052・953・6011)。


    2008-01-08