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肝炎治療:「これで終わりじゃない」 重い自己負担、「薬害」以外も救済を /神奈川


1月15日に国との和解案に基本合意した、薬害C型肝炎訴訟の原告・弁護団のうち、原告の福田衣里子さんと山西美明・薬害肝炎弁護団副代表、薬害エイズ被害者で知られる川田龍平・参議院議員が1月16日、東京・有楽町にある日本外国特派員協会で講演を行った。

 まず、薬害肝炎訴訟について山西弁護士から説明があり、今回の訴訟の焦点は2点に絞ったことをあげた。

  1. 個々の患者の損害賠償請求ではなく、全てのウイルス性肝炎患者への治療体制の確立を目指こと

  2. 繰り返される薬害の連鎖を断ち切ること

 今まで行政も立法も肝炎問題に無関心であったのを、司法の場で肝炎を蔓延させた国の法的責任を認めさせるにはと考え、その結果、有効性が疑わしいにもかかわらず、肝炎感染の危険性のある血液製剤の製造・販売を認めてきた、薬事行政に問題があるとの結論に達した。その為に、血輸病など先天性疾患の血液製剤による感染は、あえて訴訟からはずす戦略を選択したとのことだ。

 裁判で国側は一環として当時、C型肝炎ウイルスの存在がわかならなかったと主張。しかし実際には、A型でもB型でもないウイルスの存在を知っていた事実もわかっていた。

 原告の福田衣里子さんは、今回の法案について「自分たちのためだけでなく、350万人の肝炎患者の命を救う為の土台作りでしかない」と話した。現在27歳の彼女は、20歳の時にC型肝炎であることを知り、原告になった時から実名を公表して、薬の副作用に苦しみながら戦ってきた。和解への対応を明らかにしていない、利益優先主義の製薬会社については、「怒りと悲しみを覚えた。真相を明らかにしないと繰り返し同じことがまた起きる」と批判した。そして「この法案で救済されるのはごく一部でしかなく、全員救済までこれからが戦い」と話していた。


 川田龍平・参議院議員は、今回の薬害肝炎問題と薬害エイズの問題は繋がると指摘。「70年代に肝炎が問題視された時に、国が何らかの対策を取っていれば、80年代に起こったエイズ問題も防ぎ、被害拡大も抑えられたはず。国がやるべきことをやらなかった為に、その後の訴訟に発展したのではないか」と話した。96年に和解した薬害エイズ問題の自らの経験から「政治の力の大きさ」を身をもって感じたとのこと。その為に今回の薬害問題でも、首相や厚生労働大臣の行政のトップの政治的判断を求め、官邸前で街頭で抗議行動を起こした経緯もある。

 5年にも渡る訴訟で国の法的責任を勝ち取り、16日に施行された薬害肝炎被害者救済特別措置法。これからの問題として山西弁護士は、次の点をあげていた。

  1. 認定ルールの確立

  2. 訴訟の対象からはずした先天性疾患患者への救済

  3. 全てのウイルス性肝炎患者への救済の確立

  4. インターフェロン治療の休業補償や癌患者への生活支援

  5. 原因究明と再発防止

 もし仮に350万人の肝炎患者の認定作業をするのならば、医療機関でのカルテ保存期間が5年間と決まっている為、ほとんどの肝炎患者の当時の資料が残っていない可能性が大きい。約9割の医療機関がカルテを破棄しているということを考えると、当時、関わっていた医師などのヒアリングなどだけでも、気の遠くなるような作業となってしまう。今後、認定の線引きのきちんとしたルール作りを、日本の医療問題として、国や厚労省は、医師会や薬剤師会などと連携を取りながら、慎重に進めなければいけないのではないか。投与記録がない患者については、渡辺亮記者が「投与与記録のある1000人以外の、『349万9000人』の思い」でも問題提起をしている。

 講演をした3名全員が主張していたことは、今回の和解はあくまでも全面解決のための第1歩であること。この法案は、全員救済への命をかけた武器でもあり、これからが薬害根絶への本当の戦いなのかもしれない。

(記者:小宮山 圭祐)


    2008-01-21