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厚労省は薬害肝炎を「検証」できるのか(下)


研究班が実施する薬害肝炎検証について議論する「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」(座長=寺野彰・独協医科大学長)の10月27日の会合。2時間という短時間の中で分厚い資料が説明され、委員からはさまざまな意見が噴出する。研究班を取りまとめる堀内龍也委員(日本病院薬剤師会会長)が苦渋の色をにじませている隣で、事務局の厚生労働省は意見を求められても研究班の扱う内容だとして及び腰だ。検証結果を盛り込んだ提言を検討委は年度内にまとめねばならない。被害者、医療者、弁護士、学識経験者などさまざまな立場から出される多くの意見は、「検証」にどこまで反映されるのだろうか。

 資料説明が半分まで終わった時点で、既に開催予定の2時間のうち1時間40分が経過していた。座長は「後半の議題が残っている」と述べ、事務局や研究班に資料説明を続けるよう促した。
 研究班から「国の制度的責任に関する各地裁判決指摘事項の抜き書き」が説明された後、厚労省医薬食品局の担当者から「薬事行政及び関連施策・制度の改正経緯等」が説明されている途中で予定終了時刻を経過。しかし、担当者の説明のペースは変わらず、資料が一枚ずつ淡々と読み上げられていった。ようやく資料説明が終了した時には、予定終了時刻を10分超過していた。

 この後、委員からせきを切ったようにさまざまな意見が噴出した。

<委員からの質問・要望内容(発言順)>

■“生き残り”の意見出して議論を
小野俊介委員(東大大学院薬学系研究科医薬品評価科学講座准教授)「今の説明を聞いていると、これで終わった、解決したかのように聞こえる。わたしもだまされそうになるわけだが、今問題にしなければいけないのは、これからどうやっていくかということ。例えば、(青森県で非加熱フィブリノゲン製剤による肝炎集団感染が発生した)1987年が今だとして、どうするか。これから訳の分からないこと、想像を絶するようなことが起きたときに大丈夫か、という話をしないといけない。全部予定調和みたいに話が終わるものではない。判例の示し方についても、われわれ全員がだまされているのかもしれないが、裁判長が言ったことだけを並べて『正しいことです』と、それを勉強したとしても何も生まれない。これに、添えてほしいのは、当局がどう思ったのか、どういう主張をしたのかということ。(厚労省側の)覆された論理や主張、気持ちを並べて、裁判長がなぜ『うまくいかない』と考えたのかを出さねば。裁判長が言っている内容は重みがあるので結構だ。だが、そう考えていた当局の“生き残り”がここに座っているのだから、『なぜそう思ったか』ということをきちんと言ってもらう。『なるほどね』ということがあるかもしれないし、全くおかしいかもしれない。それをやらないといけない。事務局はこれをナンセンスと思うか伺いたい」
事務局「基本的には研究班の方でどういう整理で資料を作られるかということになると思うので、わたしどもの方からは難しい」
小野委員「思っていることを言うのは無理か。『当時こう思ったから、こう主張したのです』ということは言ってもらわないと、話が前に行かない。建設的議論が何一つ生まれないのでは。嫌かもしれないが、意見や当時どう思ったかを言ってもらう。この場が怖ければ、堀内委員の研究班で意見表明してもらうというのでどうか」
堀内委員「主訴や反論がどうだった、というまとめ方をしている。ここでは判決についてのデータが資料として出ている。それをもう少し評価するために専門家の班員に入ってもらったので、もう少し整理してから出したい」

■判決資料はあくまで「検討の視点」
水口真寿美委員(弁護士)「前回と同じことを言うが、判決をここで資料の一つとして使うことの意味だ。『検討の視点』を与えるということで意味がある。小野委員が言うように、詳しい資料があった方がいいのはそうだが、裁判のやり直しみたいな話に引きずり込まれないようにしなければ。裁判は、損害賠償法上の違法にならない線はどこか、という視点で検討するものなので、共通の基盤として確認しておくもの。また、(旧厚生省の)薬務局がミドリ十字との間で(薬害肝炎問題を)軟着陸させようとしていたという事実認定がある。問題が分かった後に、どういうふうに前向きに誤りを認めて対応していくのかという姿勢が重要。また、制度改正の説明を聞くと、これから血液製剤の薬害は起きないだろうとでも思ってしまうような説明。『ここまでよくできました』ということを報告していただくのではなく、『ここがまだ課題として残っている』ということを出してもらう方が、この会議の議論が進む。資料説明を20分ほどずっと聞いているままで、皆早く終わってほしいと思っているし、聞いても頭に入らない。だから読めば分かる資料を出すなど、進行を考えてほしい」

■どういう情報が血液製剤を使わせたか
堀明子委員(帝京大学医学部附属病院腫瘍内科講師)「現場の医師は何らかの理由があって患者に(血液製剤を)使用する。その医療現場はどういう情報があってそれを使うことを判断したのかということを今後検討してほしい。添付文書の効能・効果や有効性・安全性の情報が最新の医療現場の状況に追い付いていないこともあれば、積極的に使わなければいけないケースもある。その中身を掘り下げてほしい。逆にどういう情報が現場にあれば使われなかったか。どういう情報が欲されていたか。現場が十分と思っているかという受け手側のことも重要」

山口拓洋委員(東大大学院医学系研究科臨床試験データ管理学特任准教授)「医薬品医療機器総合機構にも意見を聞きたい。現場で安全性対策をやっているのは機構なので、生の意見を聞かなければ、対策を立ててもナンセンスということもある。書類作成に参加してほしい」

坂田和江委員(薬害肝炎全国原告団)「薬事法の改正は、事件が起こり、犠牲者が出ないと法改正されない。これはおかしい。事件が起こる前から改めないといけないと思っていたことがあると思う。日ごろから仕事を振り返り、改めるべきことを改める心を持ってほしい」

間宮清委員(財団法人いしずえ=サリドマイド福祉センター=事務局長)「前回も今回も委員からさまざまな意見が出た。予算や時間の問題などあるが、何をして何をやらないのか、整理して次回に検証項目を示してもらえないか」
堀内委員「先程(提出すると)申し上げました」


    2008-11-03