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薬害肝炎 原告の49歳歯科衛生士「闘い終わらない」


「感染から20年、こんな日が来るとは思ってなかった」。薬害C型肝炎訴訟で11日、被害者救済法が成立し、東京原告で歯科衛生士の久野郁子さん(49)=千葉市=は喜びをかみしめた。一方で「カルテのない被害者、そして肝炎患者全員が救われるまで、やるべきことはたくさんある」と気を引き締めた。【北村和巳】

 初めての勤務先で経験した肝炎患者への対応は特別だった。院内感染を防ぐため他の患者とは別の治療場所に案内し、エプロンやゴーグル、手袋を身にまとった。率直なところ自分も感染は怖かった。

 88年に第2子の長男を出産した際、大量出血し、血液製剤フィブリノゲンを投与された。間もなく異常なだるさと黄疸(おうだん)が現れ、急性肝炎で入院した。肝炎患者への偏見や差別が、自分のこととして頭に浮かび恐怖を覚えた。肝硬変や肝がんに進行するかもしれない不安に、51歳で亡くなった母が自分と重なった。

 再び働こうとした4年後、慢性肝炎と診断された。就職が内定していた病院の担当者に打ち明けると「うつる病気でしょ。働かない方がいいのでは」と冷たく言われ、辞退した。この時の言葉は、その後もずっと、心の傷として残った。就職が決まっても周囲の目が気になり「私は悪くないのに」と悔しさが募った。治療を考え転勤を断り続けてくれた会社員の夫(51)や3人の子に支えられ、必死に笑顔を浮かべた。

 インターフェロン治療など闘病の末、06年にウイルスが消えた。病状が悪化する危険性はなくなっていないが、気持ちは少し落ち着いた。偏見を恐れ、孤独に肝炎と闘ったつらさを思い起こし、夫と相談して「自分が声を上げなければ」と実名を公表し提訴した。

 国が責任を認め、訴訟は解決に向かう。だが、今回の法律では救済が難しい肝炎患者のため、国に医療費助成の充実や恒久対策をさせなければいけないと思う。そして、今後の薬害の拡大を防ぐため、自分たち現場の医療関係者が声を上げていく態勢を作るよう呼び掛けるつもりだ。

 「闘いは終わりじゃない。これからスタート」。肝炎患者への理解を訴えようと来月2日、支援者とともに千葉県市川市でチャリティーコンサートを計画している。


Author : 北村和巳    2008-01-12